花むらのお鍋のはなし

鍋のイメージ

 花むらでは、初代が研究し開発した鍋を使っています。
お客様から、「天ぷらをカラッと揚げるには、どうしたらいいのですか?」と良く尋ねられます。カラッと揚げるコツは色々ありますが、その1つに油の温度があります。

天ぷらを揚げる時、材料に衣をつけて、油の中に入れた時、衣は急速に固まり、油の中に材料の「うま味」が溶け出そうとするのを押さえてくれます。天ぷらは衣をつけることにより素材のうま味だけを残し、余分な水分を抜くことにより、うま味が凝縮するから美味しくなります。だから先ほどの衣の働きは大切になるわけです。

この衣の働きをさせるためには、油に一定の温度を保たせなければいけません。つまり、冷たい材料をいくつ入れても、急に温度が下がることなく、さらに材料を鍋に入れても急速に衣が固まる温度、そして温度が急速に上がり、衣が焦げない温度を平均して保ちつづけることが大切となります。

ご家庭で天ぷらを揚げるときに使われる、フライパンや揚げ鍋は薄いものが多く、熱を保持する力がありません。そのために急速に温度が上がってしまったり、下がってしまうのです。 これではカラッとした、うま味が凝縮した美味しい天ぷらを揚げることは困難となるのです。

「花むら」では、底を厚くした鉄鍋、それも南部の砂鉄の鍋を使っています。
この南部砂鉄の鍋は、熱の保有力が強く、底が分厚くなっているにも関わらず油への熱の通りも早いのです。 分厚いためにガスなどの火先の当たる部分だけが熱せられることなく、熱が平均的になるのです。 そのため、天ぷらを美味しく揚げることができるのです。