冬の素材

栗、マツタケ、銀なん。実りの秋まっただ中。

北からは、冬の足音も聞こえてまいりました。
冬は、海の幸の季節です。
この季節の食材には、天ぷらにすると美味しい物がいっぱいです。

今回の花だよりは、それらの旬の食材をほんの少しですが、
ご紹介したいと思います。
これから迎える寒い季節、揚げたてで、アツアツの天ぷらと、

熱燗で心も身体も温まってみてはいかがでしょうか?

食材紹介

■ メ ゴ チ

メゴチ

メゴチと聞いて皆さんは、その姿を思い浮かべることができますか?

当店でもキスや、ハゼは分かるお客様は多くいらっしゃいます。 しかし、メゴチとなると、分からない方が多いのです。 メゴチは、天ぷら以外で食べられることが少ない魚です。
最近では、スーパーやデパートの食品売り場で裂いたメゴチがパックに入って売られているのを見られるようになりました。 キス釣りやハゼ釣りに行くと、メゴチばかりが釣れてしまう事も多いようです。

メゴチは、頭部に鋭い刺がある上に体表がひどくヌルヌルしている為に、取り扱いがとても厄介な魚です。 そのため、釣れても捨ててしまうのでしょう。 メゴチと呼ばれている魚は、コチ科とネズッポ科、その他数種類があります。
関東では、ネズッポ科のネズ、ネズミゴチ、トビヌメリが、メゴチと呼ばれ、和歌山、兵庫、広島などでは、コチ科のイネゴチをメゴチと呼んでいます。 天ぷらに使われるのは、ネズッポ科のものです。

このメゴチには、特有の臭みがあります。 しかし、衣を付けて揚げる事により、余分な水分と一緒に臭みも抜け、身はしまり歯あた りが良く、深みのある濃いうま味となります。


■ ハ ゼ

ハゼ

 ハゼの天ぷらは、口に入れた時、とけるようで淡白な味と揚げ油の調和は、なんとも言えない美味しさがあります。
天ぷらの材料の中でも、最も広く親しまれているもではないでしょうか?

はぜは、初夏から夏にかけて河口から川の下流域まで上がり、秋から初冬にかけて寒さが厳しくなる時期、産卵のため深場へと移動して行きます。
この頃のハゼが最もアブラが乗り、美味しいと言われているのです。

ハゼの本場は、東京湾の京浜寄りの羽田や川崎。ついで、千葉側の浦安や船橋が有名です。
この時期、東京湾のお台場辺りでは、ハゼ釣りの船が多く見られます。


■ シ ラ ウ オ

シラウオ

 淡白な味なシラウオは、メゴチとは違い、キスと同じく他の料理でも重宝がられていますが、天ぷらでも、冬から春にかけて、なくてはならない食材になります。

シラウオは、東北から九州にかけて全県いたるところの海岸寄りに生息していますが、全県の水揚げ量が多いとは言えないので、大衆魚とは言えないのです。 シラウオは大きくて10センチぐらいの体長で、頭部がたてに平たく、身体も同様で、水の中では、透き通っていて、水から揚げると半透明になります。

このシラウオと似ていて混合されやすいのがシロウオですがこちらは、体長が3センチぐらいで身体が円筒状で、踊り食いで有名なのがこの魚です。 天ぷらでシラウオを揚げる場合、揚げかげんが大変重要になってくるのです。
少しでも揚げ過ぎたとなると、味が全くなってしまうのです。


■ ク ワ イ(慈姑)

クワイ(慈姑)

 みなさん、慈姑をご存知ですか?
冬場に食べられる野菜ですが、球根上部に芽が出ていることから、「芽が出る、めでたい」にかけて、正月の縁起物として、煮物にしておせち料理の中に入れられます。
天ぷらでは、慈姑をすりおろし、のりで包み巾着にしてあげます。 すると、独特の苦味とともに、おもちのようなもちもちした感触を楽しむことができます。 また、慈姑を薄くスライスして揚げる場合もあります。

ふきのとうも  京人参やふきのとうも美味しい季節です。是非ご賞味ください。
京人参